福島・新地町。11年目の田植え
2011年の東日本大震災は、福島県新地町の農地を変えた。津波が去った後、耕作放棄地が広がった。誰も使わなくなった田んぼが、静かに荒れていった。玄海は、その田んぼを借りた。「玄海田」と名づけ、毎年社員を連れて田植えから稲刈りまでを行う。今年で11年目になる。2026年の出張には、社外のゲストも含む過去最高の21名が参加した。出張経費は約40万円。通常の営業日を1日休業にして、売上を捨てて向かった。田植えをする。腰が痛い。手が泥だらけになる。天候に翻弄される。それでも稲は育つ。そして、育てた人間だけが知ることのできる感覚がある。「食べることは当たり前ではない」この体感を、社員全員が持つこと。それがこの出張の本当の目的だ。目黒農園の方々と話す。耕作放棄地の現実を目の当たりにする。自然の偉大さと残酷さに触れる。食の安全保障という言葉が、教科書の話ではなくなる瞬間がある。収穫されたお米は、玄海の水たきの締めの雑炊などに使われる。お品書きにはこう書かれる。「福島・新地町の耕作放棄地に命を吹き込み11年守り続けた田んぼで育てたお米です」